ニュースの論点No.842 スタバが好調な本当の理由

「「スタバにいる自分」に酔えるからではない…「コスパ最悪」のスタバがいつも超行列・超満席である納得の理由」202547日、Yahoo!ニュースはこう題した記事を掲載しました。

 

近年、「喫茶店離れ」が進んでいると言われています。実際、全国の喫茶店数は1981年の約15万軒から、2021年には約6万軒弱へと激減。2024年度の倒産件数も過去最高ペースで推移しています。

 

一方で、スターバックスのようなカフェチェーンは好調を維持しています。なぜこの差が生まれるのでしょうか。

 

メディアではしばしば「スタバは承認欲求を満たす場所」といった論調が見られますが、この視点だけではやや一面的です。

 

スタバが好調なのは、「空間価値」を丁寧に設計し、顧客が求めるリフレッシュの場を体現している点にあります。

 

もちろん、この「空間価値」は単なるインテリアの話ではありません。立地、動線設計、スタッフの接遇、商品構成などが一体となって生まれる体験価値です。

 

調査によると、カフェ・喫茶店の利用目的の上位は「休憩・リフレッシュ」や「軽食をとる」であり、「コーヒーの味」は1割前後に過ぎません。つまり、経営側が「うまいコーヒーを出せば人が来る」と考えていても、多くの顧客はそこに重きを置いていないのです。

 

こうしたズレは、特に個人経営の喫茶店に顕著です。限られたスペースと人材、資本力では「ゆったりとした癒しの空間」を提供するのは難しく、結果的に席数を詰め込んだり、常連客向けの内向きな雰囲気になったりしがちです。「コーヒー愛」と「顧客ニーズ」が乖離してしまっているのです。

 

では、スタバの成功は空間づくりの巧みさだけでしょうか?実は、それ以上に見落とされがちなのが「立地」の妙です。スタバの多くは、駅前や商業施設、大学周辺といった“人が集まる場所”に出店されています。

 

カフェに行く動機は「ついで」や「たまたま」が多く、わざわざ遠出して行くことは稀です。この利便性=“物理的アクセスの良さ”は集客の大きな武器となります。

 

他のカフェチェーンもそれぞれの戦略で成功しています。例えばコメダ珈琲は郊外に大箱を構え、ファミリー層やモーニング需要を取り込み、ドトールは都心部で高回転・低価格という立ち位置を確立。

 

空間も価格もサービスも、“どこで誰に何を届けるか”を徹底的に考え抜いた結果、一定の支持を得ているのです。

 

つまり、重要なのは「価格」ではなく「価値」です。そしてその価値とは、「コーヒーの味」ではなく、体験としての「居心地の良さ」や「利便性」、さらに「共感できる空間設計」によって形成されるものです。

 

経営者の視点で考えると、今問われているのは「安くて良いもの」ではなく、「なぜそこに行きたくなるのか」を創り出す力です。スタバのように、商品ではなく体験を売る。その発想が、中小企業や個店の再生にもヒントを与えてくれるのではないでしょうか。

 

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