
「保育所大手がダミー求人 事実と異なる労働条件掲載」2025年7月9日、共同通信はこう題した記事を掲載しました。
病院内保育所を全国に展開する企業が「園長募集」と銘打った求人で実際は別のポストへ振り替えていた――そんなニュースが報じられました。
ダミー求人は空求人、おとり求人あるいはゴーストジョブとも呼ばれ、実際には採用されない役職の求人です。主に次の2つに分類されます。1.意図せず掲載を取り下げるのを忘れて残ってしまった求人。2.直ちに採用する意図がないのにも関わらず意図的に掲載された求人。
人手不足が深刻な業界では“まず応募してもらわなければ始まらない”と考え、ダミー求人や条件を盛る誘惑に駆られがちです。しかし、一時的に応募数を稼げても、誇張は必ず裏側で信頼を削り取り、後になってより深い傷となって戻ってきます。
求人だけではなく、私たちの現場でも同じ構図を見かけます。たとえば製品パンフレットに“顧客満足度 No.1”と大きく掲げながら根拠データを示さないケース。
試しに購入した顧客が「思ったほど良くない」と感じた瞬間、口コミで期待値とのギャップが拡散し、次の見込み客を遠ざけてしまう。求人と商品宣伝、形は違えど“実像を盛るリスク”は共通です。
ここで自問してみてください。求人票、サービス紹介、代表メッセージ――外向けの情報すべてが「未来の従業員・顧客にとっての初対面」です。その第一印象が必要以上に華美だったとしたら、あとから実物がどれだけ頑張っても追いつけません。いま発信している言葉は、現場の実感とどこまで重なっていますか。
修正の起点はシンプルです。第一に、事実を“半歩だけ前向き”に言い換える程度にとどめる。第二に、完成した文面を現場社員や既存顧客に読み比べてもらい「違和感」を赤入れしてもらう。第三に、アンケートやレビューをこまめに収集し、“相手が実際に感じた価値”を次回以降の文章に反映する。
採用であれ販促であれ、この三つを回し続ければ誇張する必要そのものが消えていきます。
民間企業の調査では、早期離職理由の上位に「聞いていた労働条件との相違」が毎年挙がります。条件の“上乗せ”で獲得した人材は、真実を知った瞬間にコストとともに去っていく。統計はその現実を物語っています。
「良く見せたい」という欲求は誰にでもあります。きれいなお化粧くらいならブランドを引き立てる役割を果たすでしょう。しかし輪郭が変わるほどの行き過ぎた加工は、最終的に自分の身を崩すだけです。短期の数字ではなく、長期の信頼残高を増やす発信を選びましょう。

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