コラムNo.681 違和感の正体

 皆さんも様々な場面で「違和感」を感じることがあると思います。この「違和感」。見過ごすと仕事でもプライベートでも高い確率で「ヤバイ」ことになります。「そういえばあの時…」「気づいていたのに…」「まあいいかと思っていた…」

 

 スポーツをされている方はより分かりやすいと思います。腕や足、腰に違和感がある…。ただこの場合は自分の体なので、常に違和感が付きまとっているとさすがに気持ち悪い。誰もが治療や休養など、何かしらの対策を施すでしょう。

 

 一方、違和感の出所が他人やモノ、環境だった場合は、自分事ではないので見過ごしがちになります。「何かちょっと引っかかるな」と思っても、次の瞬間には「まあいいか」となり、そのままにしてしまう。

 

 これが間違いの始まりです。モノが置いてある場所が違う。設備から少し異音が聞こえる。スタッフの顔が暗い。受け答えが固い。来るはずの通知が来ない。普段はない確認の連絡がある。社内の雰囲気がざわついている。とにかく、何かが違う。引っかかる。ただ、表面的にはそう変わらないように見える…。

 

 こういったサインは、大抵「気のせい」ではありません。人間の直感は間違うことも多い中で、ちょっとした違いを感じるこの違和感センサーは、個人的に相当優れていると思っています。

 

 「ハインリッヒの法則」をご存じでしょうか。労働災害の分野で知られる経験則で、1件の重大な事故の背後には、29件の軽微な事故があり、さらにその背後には事故にいたらなかった300件のヒヤリハット(冷やりとしたり、ハッとしたりする状況)が隠れていると言われています。

 

 この「ハインリッヒの法則」を勝手に拡大解釈させてもらうと、300件のヒヤリハットの背後には、1000件以上の小さな「違和感」が隠れているのではないでしょうか。

 

 重大な事故が「スタッフの退職」の場合もあれば、「失客」もあるかもしれません。その事故が起きる前には本当に小さな、それでも気づける範囲の違和感が兆候として表れています。それに早く気づけるか。気づいてすぐ手を打てるか。企業の優劣の差はこんなところから生まれています。

 

 企業が成功するために必要なのは、目に見える派手な商品や広告ではなく、違和感を取り除くための、水面下での地味な仕事や作業です。そして、何より重要で忘れてはならないのは「違和感」が現場でしか感じられないことです。

 

 リアルに比べれば、紙の書面やチャット、リモートワークなどから得られる情報は圧倒的に少なく、違和感などの「微妙で細かな感覚」は到底得られません。

 

 経営者の皆さん。その「違和感」を放っておかないでください。その種はやがて想像以上の事故を生み出す可能性があります。現場には定期的に訪れ、五感を使って状況を確認しましょう。その行動が、あなたの会社の成否を分かつ重要な一歩となります。

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