コラムNo.609 「面倒くさい」の効能

 皆さんは「面倒くさい」と思ったことはありますか? おそらく、思ったことがない人はいないのではないでしょうか。少なくとも私はよく感じますし、何なら口に出したりもします。「あー 明日までに書類を完成させないといけない…面倒くさいなぁ」「あの人に連絡しないといけない…面倒くさいなぁ」「あれを準備した後に、あそこを片付けないと…面倒くさいなぁ」

 

 挙げればキリがないくらい、世の中には「面倒くさい」ことが溢れています。だからでしょうか。書店によくあるビジネス系のスキルアップ・自己啓発本には、「面倒くさい」を絶対に言わない、会話で使わない、心の中で思わない、言葉を変換してどうのこうの…と教科書的な対処法が山のように書いてあります。

 

 もちろん、それはそれで否定はしませんが、個人的にはあまり意味のない対処法だと感じます。本音で思っていることを建前だけ変えても意味がないからです。むしろ、無理やり思い込むことで心の中が歪んでしまい、人によっては精神的に不安定になることすらあるでしょう。

 

 私の場合、「面倒くさい」ものはどうやっても「面倒くさい」ものだと割り切り、それでもやる自分は「なかなかすごいやつ」だと思いながら日々の仕事(プライベートでも)を実践しています。

 

 突然ですが、スタジオジブリの宮崎駿監督。彼は「プロフェッショナル仕事の流儀」の取材の中で「面倒くさい」を連発しています。「まことに面倒くさいよね」「あー面倒くさい」「面倒くせえぞ」などなど、見ているこちらが面倒くさく感じるくらい「面倒くさい」発言が飛び出します。

 

 普通に考えれば、宮崎駿監督レベルになると仕事が楽しくて仕方がなく、面倒くさいとは無縁なイメージです。しかし、実際はそうでもなく、皆が思っている以上に面倒くさがりながら日々の仕事をこなしている姿に驚きを禁じえません。

 

 とはいえ、その内面を深掘りすると「面倒くさい」の正体があらわになります。

宮崎氏曰く、

 

「面倒くさいっていう“自分の気持ち”との闘いなんだよ」

 

「世の中の大事なことって たいてい面倒くさいんだよ」

 

「面倒くさくないところで生きていると、面倒くさいのはうらやましいなと思うんです」

 

など、発言から「面倒くさい」の真意が明確になってきます。この発言の数々には私も激しく共感します。

 

 結局、面倒くさいことを乗り越えなければ、圧倒的な成果を生み出すことは絶対にできないのです。どんなに好きなことでもすべてが楽しいとは限らない。「面倒くさい」と思ったときに、それを押さえつけたり、わけのわからない変換でごまかしても無意味です。正面から受け止め、それを乗り越えてこそ、自分が望み納得できる成果が手に入ると私は思います。

 

 ちなみに私は人に対しても「面倒くさい人だなあ」と言って勘違いされることがあります(これは私の言葉足らずですが)。私が直接その人に「面倒くさい人」という真意は、周囲の意見に流されず自分の信念やこだわりを大事にして行動をする人です。つまり実践している人への「ほめ言葉」です(あまり伝わっていないので、今度からきちんと説明するようにします)。

 

 さて、経営者の皆さんも日々「面倒くさいこと」が山積みだと思います。それをどう受け止め、どう乗り越えていくか。ここにあなたの価値観が表れます。そこから目を背け、さぼってしまえば単なる「怠惰な人」です。面倒くさがりながらも、やることはやる「実践の人」になっていきましょう。

 

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