コラムNo.627 二極化の中、どちらを選ぶか

 最近、オンオフ問わず「実店舗」を利用する機会が増えています。飲食店を始め、服や靴などの小売店、美容室などのサービス店。以前から営業していた店舗が多いのですが、どの業態もコロナ騒動の3年間を経て相当な変化が現れています。

 

 一番は「人との接触」が減ったことでしょうか。予約・来店・オーダー・接客応対・会計などのフローで、人と直接的に接する機会はどの業態でも確実に減っています。美容室など、お客に直接サービスを提供する店舗以外では、会話する機会もかなり少なくなりました。

 

 ここで結論めいたことを先に書くと、実店舗の価値は「人によるサービスの質」がそのすべてだということです。個人的な見解ですので反論はあるかもしれませんが、長年店舗ビジネスに関わってきた感覚からすると間違いない事実だと確信しています。

 

 コロナ騒動を経て、自動化・機械化・無人化が一気に進みました。これらは以前から進みつつありましたが、「コロナでせざるを得ない状況」が進展を加速し、今では大半の店でさまざまな設備が導入されています。

 

 上記のようなテクノロジーが抵抗なく導入され、店舗ビジネスでは以前から懸念材料だった人手不足をはじめ、あらゆる問題をテクノロジーがすべて解決してくれるかのような錯覚に陥りました。

 

 しかし、このことが皮肉にも「人によるサービスの質」の価値をさらに上げていきます。この3年で明らかにコミュニケーションが疎外され、何をするにも無機質なやりとりで完了するようになりました。要はどの店も接客応対を含めたコミュニケーションが「下手くそ」になっており、一部の優れた店舗の価値が相対的に上がっているのです。

 

 ちなみに低価格業態に関しては、効率アップのために自動化・機械化・無人化の相性が良いかもしれませんが、これにより同業態の客層はますます悪化し、食テロなどの問題の要因にもなっていると言われています。

 

 この点、人の目があることで一定の予防効果はあるそうですが、「人の価値」は単なる予防効果に終わらず、やはり「コミュニケーション」が最大の価値になると私は考えています。

 

 「コミュニケーション」には提供するサービスのスキルをはじめ、お客が本当に困っている、求めていることを引き出す力も含まれます。お客にとって最適な道筋を立て、それに必要な商品やサービスを勧めて提供する。現状を整理し、課題を見つけ、解決策を共に考え、無理なく実践まで導く。この一連の流れを実現するには、相当のスキルとマインドが必要です。

 

 そして忘れてはならない、店舗ビジネスで最も大事なことがあります。それはお客に「笑顔」を持ち帰ってもらうことです。これはきれいごとでも何でもなく、すべての店舗ビジネスにおいて必ず達成するべきミッションだと私は考えています。

 

 今回、残念ながら満足するような買い物はほとんどできず、コミュニケーションの質も落ちていると感じました。もちろん人手不足で回っていない状況かもしれません。あるいは現場のスタッフに対する教育不足、あるいはコロナ禍でコミュニケーション自体が必要ない、価値のないことだとアップデートされてしまったのかもしれません。

 

 ですが、結局のところどんなに優れたAIでも人間の価値には到底およびません。親身になって相手の事を考え、感情を共有し、相手を笑顔にできるのは人間にしかできないのです。

 

 これから店舗ビジネスは二極化がさらに進みます。機械的な低価格業態が増える一方で、人による「コミュニケーション価値」を提供する高価格業態も数は少ないながら発展していくでしょう。二極化の流れは店舗ビジネスに限らない時代の大きな潮流です。さて、あなたの会社はどちらの道を選択しますか?

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