ニュースの論点No.628 自分ならどうするか

 「“社員ゼロ”で100店舗達成 お肉専門無人販売所『おウチdeお肉』が万引きも許容範囲と話す納得の理由」2023319日、デイリー新潮はこう題した記事を掲載しました。

 

 記事によれば「日本で初めて『24時間年中無休』の“お肉専門”無人販売所を展開する『おウチdeお肉』。創業からわずか半年足らずで全国100店舗を数えるまでの急成長を遂げ、さらに160店舗まで拡大する見通しが立っているという。」としています。

 

 株式会社おウチdeお肉は20229月に設立されたばかりの会社です。記事タイトルにあるように、半年で100店舗のスピード出店で話題になっています。無人販売とはいえ、すごい速度での拡大です。本部は代表取締役とSVの2名で運営しているそうです。

 

 おウチdeお肉はFCを活用して店舗を広げています。初期投資は500600万ほどかかるそうで、月間の収益シミュレーションについては、FCをまとめた紹介サイトにて下記のようになっていました。

売上:1,000,000

粗利:450,000

固定費:200,000

利益:250,000

 

 商品単価はメインの肉類が1000円前後、焼肉セットなどパーティメニューが3000円~、韓国料理7001000円、餃子900円前後、スイーツが500円前後で販売されています。客単価はおそらく20003000円くらいになるでしょうか。

 

 仮に客単価2000円だと月間500客、1日当たり16客、1時間当たり0.6客(2時間で約1客)の計算になります。これくらいの客数だと現実味があるかもしれません(FCによっては相当見通しの甘いシミュレーションがありますので注意しましょう)。

 

 さて、無人販売業態は近年増加しています。コロナ禍による人との接触回避、セルフレジへの慣れ、IT技術の進展等がドライバーとなり、「自動販売機」業態とともに一気に広がっています。

 

 無人販売業態で展開される商品では、一時期「餃子」がすごい勢いで拡大しました(おウチdeお肉にも置いてありますね)。自動販売機においても「魚介類」などこれまでなかったあらゆる商品がラインナップされています。ちなみに自動販売機は「補助金」が拡大の後押しにもなっています(食品の自販機は明らかにキャパオーバーで確実に廃棄が増えるでしょう)。

 

 無人販売業態(自販機も)における出店者側の最大の「メリット」は人件費や設備などのコストを掛けず、未経験でもローリスクで安定収入を得ることができる(かもしれない)ことです。

 

 一方で購買客側のメリットは何があるでしょうか。24時間好きな時に、人目を気にせず肉やその他の食料品が買える。近くにあれば、買いに行く手間もかからない…。他にもあるかもしれませんが、個人的にはあまりメリットは感じられない気がします。

 

 おウチdeお肉には「第2のコンビニエンスストア」というコンセプトもあるそうで、それが故に肉類以外の韓国料理やスイーツを置いているとのこと。どちらかと言えば、若年層向けかな…という品揃えですが、まあ、それ以外の層もある程度のニーズは取り込めるとは思います。

 

 さて、皆さんなら出店しますか? シミュレーション上では何とか利益も出せており、副業にはもってこいのような見え方ですね。ここで皆さんに考えていただきたいのは、副業でも何でも新たな事業に参入する場合、数字だけでなく「継続して価値が提供できるか」という視点です。

 

 そもそもおウチdeお肉が提供する価値は何でしょうか。「普段買えない肉が好きな時に買えること?」「他にはない品揃え?」皆さんは何だと思いますか?

 

 ここからは個人的な見解です。肉の無人販売というスタイルは物珍しい反面、非常にマネされやすい業態です。一気に100店舗も広がったということは、それだけ「シンプル」で、言い方を変えれば「単純明快」なビジネスモデルです。故にマネされやすい。人や商品、店舗体験で差別化は難しく、近い将来似たような業態が競合他社からも出てくるのは間違いないでしょう(おウチdeお肉も大枠では後発組ですが)。

 

 そして最も重要な点。お客はリピートしてくれるのか。最初こそ話題性で来店するかもしれませんが、店舗ビジネスは「リピート率」がカギです。初回来店後に定期的な来店を生む仕組みはあるのか。誰が考えても冷凍の肉類(と韓国料理などの一時的流行商品)だけで長期的な価値提供は難しいでしょう。

 

 おウチdeお肉に関しては出店スピードの速さも気になります。ブームは供給過剰の直前という言葉もありますが、市場シェアを取るためにいたずらに出店数を増やすのは得策ではありません。○○ステーキも、変な名前の食パン屋も、タピオカ屋も、あの店も、この店も一気に増えれば市場は焼け野原になります。

 

 経営者の皆さん。あなたが出店するならどうしますか? また、フランチャイザー側だったらどんな戦略を立てますか? 業種が違うならなおさら自分事として考えてみてください。経営判断のいいトレーニングになります。

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