
皆さんはご自身の小学校や中学校時代にどんな印象を持っていますか? あるいは10代、20代など年代ごと、もっと細かく旅行や結婚式などのイベントでは? 改めて人生の色々な出来事について、その印象を思い出してみてください。
さて、どんな感じでしたか?
この印象を決めるのは「ピーク・エンドの法則」です。心理学・行動経済学者のダニエル・カーネマンらが提唱した法則で、「人はある出来事に対し、感情が最も高まった(ピーク)の印象と、最後の印象(エンド)だけで全体の印象を決める」とされています。法則ではポジティブな感情だけでなく、ネガティブな感情も影響を与えます。
例えば高校時代にいい印象を持っている人は、勉強やスポーツ、学園祭などで活躍し(ピーク)、志望校に合格し、卒業式でも周囲から相当な祝福(エンド)をされたのかもしれません。逆に悪い印象を持つ人はその真逆の思い出があるのでしょう。
ピークとエンド以外の出来事が忘れ去られるわけではありませんが、全体の印象はほぼピークとエンドで決定づけられます。「大学時代は楽しかった」「あの旅行はよかった」「つまらないイベントだった」など、ピークとエンドでその人の感情がどう動くかによって、出来事の印象が記憶に残り続けるのです。
ちなみに「有終の美」「終わり良ければ総て良し」など、“終わり方の重要性”に言及した言葉は昔からすでに存在していました。それくらい本質的な法則と言えるでしょう。
翻って、ピーク・エンドの法則はビジネスにおいても重要です。自社の商品やサービスについて、顧客がどんな印象を持つかはこの法則で左右されます。
例えば飲食店。コースが進むにしたがって豪華なメイン料理が出され、相手との会話もさらに盛り上がります(ピーク)。デザートの後、スタッフからは感謝の言葉とともに丁寧なお見送りがなされます(エンド)。こんな感じで流れると「ああ、いい店だった。また来たいな」となりやすいでしょう。
一方、忙しいのかコース料理が全部一緒に出され、飲み物が出されるのは遅く、まだ時間はあるのに制限時間だと言われ、お会計には時間がかかり、追い出されるように店を後にする。ピークはマイナス感情で最後も悪印象。この場合、おそらく次の利用はなくクチコミにも散々な書き方をされる可能性が高い。
店舗だけでなく、セールスやプレゼンテーションにも同じことが言えます。つまるところ、顧客に感じてもらうピーク(盛り上がり)とエンド(終わり方)をどう設計するか。ここにビジネスの成否が委ねられると言っても過言ではありません。
まったく波のないダラダラとした出来事は人の心に何も残りません。これは人生においても同様です。最後に自分の人生を振り返ってどう感じるのか。この点、「ピーク」は新たなことに挑戦することで、また「エンド」はあきらめずに継続することで、よりよい感情の波が生まれやすくなります。
当コラムをお読みの皆さん。ぜひ「挑戦」と「継続」を実践していきましょう。自分の人生を振り返った時の印象が大きく好転します。

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