コラムNo.743 人がいる意味

 先日、歯科医院に予約の電話をしたところ、忙しいのか結構冷たい対応で、「空きはない」とあっさり切られてしまいました。ま、仕方がないか‥と思いつつも、何だかモヤモヤした感じが続きました。

 

 こうした予約の電話もいずれAIの自動音声対応になるでしょう。そうなるとミスもほとんどなく、利便性は向上し、対応への不満もなくなり、クレームも激減するかもしれません。

 

 とはいえ、私は店舗ビジネスの世界に長くいたこともあって、「人による人のためのサービス、接客応対や接遇」の価値は今も昔も、そして将来的にも下がることなくむしろ上がっていくと確信しています。

 

 今回の電話の件も、対応次第では全然違う結果になっていたと思います。電話一本で顧客になるか、あるいは二度と行かなくなるか。それくらい「人によるサービス」の影響力はあるのです。

 

 最近、特に若年層はSNSを中心にテキストベースのコミュニケーションが主流になりつつあります。つまり電話は使わない。なので電話はもとより話すスキルもない。したがって、新入社員研修では電話応対の講義が非常に感謝されています(一時は必要ない講義とまで言われていましたが)。

 

 翻って、世の中の真理として「希少性」が高くなると価値も高まります。自動化や機械化で「人によるサービス」が減れば、当然人によって行われるサービスの価値は高まる。リモートで仕事が済む世の中ですが、これが進行すると対面での仕事の価値は高まります。

 

 電話も同様で、直接リアルタイムで話すことの価値は上がりつつあります。何でもかんでも機械的かつ無機質なサービスで満足できるほど人間は単純ではありません。

 

 結局のところ人間は社会的動物で、「人間同士で感情をやり取りする」ことが長年変わらない本質的欲求なのです。

 

 人手不足という時代の流れもあり、大手企業が手掛ける薄利多売の商売から無人化が進んでいます。この流れには抗えない一方で、人によるサービスは絶対になくならないと断言できます。なぜか。それは人の本能が求めているからです。

 

 今後、人によるサービスは希少性が増し、価値が高まることで価格も高くなっていくでしょう。結局、人は人に惹かれます。AIやVRなどの技術がどれほど進展したとしても、最終的には人間同士のコミュニケーションが価値を持つ。

 

 ただし、仕事において、ろくに訓練もしていない素人同然の対応はAIにおよばず、顧客から選ばれなくなります。近い将来、対人サービスでは一部のプロフェッショナルしか残れない世の中になるでしょう。

 

 私たち経営者も例外ではありません。「これだったら別に人じゃなくていいや」と言われないためにも、普段のコミュニケーションから丁寧な応対を心がけたいものです。

 

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