コラムNo.767 居心地の悪い場所の効用

 この1週間、自分自身の「あり方」や「やり方」を見直し、より良い状態にするために集中できた期間となりました。

 

 厳しい事業環境の中でも抜群の業績を残す中小企業社長の魂を揺さぶるような熱い話、またその社長を支えるために参謀的な役割を持つ専門家の方々との交流など、あえて短期間で勉強会や講座に集中的に参加し、自分自身のアップデートの機会として活用できました。

 

 自分にとって心地よい環境に慣れ切っていると、知らず知らずのうちに緊張感がなくなり楽な方を選びがちになります。成長よりも現状維持。良し悪しはないかもしれませんが、私にとっては望ましくない状態です。

 

 そうならないために、強制的に「自分の価値がゼロ」になるような環境に身を置くようにしています。誰も知っている人がいないうえ、自分よりも優秀な人たちが集まる場所です。これは相当に居心地が悪い。ただ、それが自分にとって刺激になります。

 

 同じ地域に同じメンバーで過ごす期間が長くなると、自分にとっての世間が狭くなります。当然視野も狭くなり、選択範囲も狭くなる。結果、岐路に立った時の判断基準も画一的になります。

 

 するとどうなるか。これまでとは違う問題が出てきたときに対応ができなくなります。なすすべもなく茫然と立ち尽くすだけ。人手不足に対応できず、資金難に対応できず、最新技術に対応できず…。昔ながらのやり方で傷口を広げ、自ら危機を招いてしまう。

 

 年を重ねると代謝が鈍くなります。私もそれを感じる年齢になりました。だからこそ外に出るようにしています。生物学者の福岡伸一氏は生命の本質を「動的平衡」という言葉で表しています。

 

 「動的平衡」とは「絶え間なく動き、入れ替わりながらも全体として恒常性が保たれていること」で、人間も新陳代謝によって分子的な実体としては数か月前の自分とはまったくの別物になっています。

 

 この点、新たに細胞が作られて古い細胞が壊されるのではなく、先回りして細胞を壊し、同時に新たな細胞を作られている。つまり創造的破壊。あえて壊れる前に壊すことで今の状態を保つ仕組みにしている。

 

 これは一人の人間の身体はもとより、思考や価値観にも当てはまり、さらには人が集まってできる組織、地域、国に至るまで同様のことが言えるのではないでしょうか。

 

 現状に固執しすぎると代謝が止まり一気に老化が進む。成長はおろか現状維持を志向する場合でも、自ら壊して新たな細胞をつくっていかないと今の姿すら維持できない。

 

 個人的な感覚では、居心地のいい空間、コンフォートゾーンばかりにいると代謝が遅くなる気がしています。言い換えればそこだけ時間が止まり時代に取り残されている。

 

 経営者の皆さん。「誰も自分の事を知らない場所」に身を置いてみましょう。居心地の悪さでストレスを感じるかもしれませんが、間違いなく新たな細胞(思考や価値観)がつくられる機会になります。

    今週の経営コラムを無料でお届け 無料メールマガジン登録はこちら
    よかったらシェアしてね!
    • URLをコピーしました!

    コメント

    コメントする

    目次