ニュースの論点No.258 成功事例をどう使うか

 「しまむら、過去最高の業績 ブランドや販売力の強化が奏功」202245日、ITmediaビジネスONLINEはこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「しまむらは44日、20222月期の連結決算を発表しました。売上高は前期比7.6%増の5836億円、営業利益は同30.0%増の494億円、純利益は同35.4%増の354億円と増収増益、いずれも過去最高を更新した」としています。

 

 コロナ禍において、店舗型ビジネスで過去最高の実績を残したのは単純にすごいことだと思います。施策としては、自社開発ブランド(PB)とサプライヤーとの共同開発ブランドを拡大し、売上比率で29.4%まで伸ばしました。加えて、インフルエンサー企画やキャラクター商品の拡大、これらの広告宣伝(動画やチラシなど)にも注力することで来店客数を増やし、売上アップに寄与しています。

 

 また、売れ筋の短期再投入や割引の削減をし、粗利率も過去最高となっています。ちなみに粗利率は34%で、アパレル小売業として考えればそんなに高い数字ではありません。近年はPBなどの取り扱いが増えてきましたが、基本的にはメーカーから仕入れて売る商売でで、しかも安さが売りなので価格は上げづらく、粗利も低くなりがちではあります。と言っても、もともと戦略として狙ってやっていますので、計算通りと言えばそうなのかもしれません。※通常のアパレル小売店の粗利率は4550%です。

 

 もう少し数字を深掘りしてみると、しまむら事業(全体の75%)では、売上高4401億円、客数16357万人、店舗数1421店となっています。1店舗当たりの売上高は3億円、平均客数は115千人、平均買上点数が3.1点、客単価は2,691円、1点単価は862円です。客数の多さと、単価の安さがすごいですね。日本の人口以上のレジ客数です。

 

 ちょっと比較するために、ビジネスモデルは違いますがユニクロを見てみましょう。確認できる数字では、国内ユニクロの売上高8426億円、店舗数810店、粗利率は連結で50%です。

 

 ユニクロの客数や客単価が不明でしたが、おそらくしまむらより高くなるでしょう。また、1店舗当たり売上には通販等が入っているとはいえ、10億を超す数字になっています。しまむらと比べれば、1店舗当たり売上は約3倍、国内売上では約2倍です。

 

 それぞれの規模感は「まあ、こんな感じか…」くらいの把握ができればOKでしょう。数字の大きさはユニクロに軍配が上がります。一方のしまむらは、ユニクロの規模には及びませんが、基本的に右肩上がりの業績が続いています。ただ、2018年~20202月期までは3期連続減収減益となり、2021年には増収に転じました。そして今回のニュースの通り、20222月期に過去最高の業績をたたき出しています。

 

 しまむらは売上アップのため、先述のさまざまな施策を実施することで、客数と客単価のいずれも伸ばしています。売上=客数×客単価という、店舗ビジネスには欠かせない公式から見ても、効果的な実践ができている証左です。これは簡単なようでなかなかできることではありません。

 

 重要なのは、各施策を点ではなく、それぞれをつなげて線で実施することです。企画から店舗での展開まで一貫した戦略を立てなければ、効果は半減どころか逆に資源のムダづかいになります。また、自社のレベルに合った施策でなければ、現場が疲弊するだけで期待した実績は残せないでしょう。

 

 経営者の皆さん。他の企業で上手くいった事例を参考にするのは構いません。ただし、そのまま真似してやらないでください。火傷のもとです。しまむらの事例はしまむらが置かれた状況だからこそ効果が出ています。まずは自社の現状を把握した後で、自社に合ったオーダーメイドの施策を立案するようにしましょう。

 

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