ニュースの論点No.630 事業の成否を分かつもの

 「『もう限界です。自己破産寸前の人も多い』高級食パン『乃が美』本部とフランチャイズ・チェーン店6社が裁判所を巻き込む“泥沼内紛トラブル”」2023325日、文春オンラインはこう題した記事を掲載しました。

 

 記事によれば「『高級生食パン』を全国チェーン展開する『乃が美』が、店舗を運営するFC6社に対し契約解除を通告し、FCチェーン店側がそれに対して取り下げを求める仮処分を申し立てるなどトラブルになっている」としています(ロイヤリティ未払が理由)。

 

 約200ある店舗(直営14、残りはFC)のうち大半が赤字とのことで、FCオーナーたちは売上の10%となるロイヤリティ軽減交渉を続けたものの議論は平行線。本部側は軽減しない方針を取っており、現在は裁判所を巻き込んだ内紛状態になっています。

 

 一般的に食パンを含めたパン店のFCロイヤリティは13%が多く、乃が美の10%は相場より高めの設定です。大半が赤字と言われている乃が美FCオーナーにとって、このロイヤリティはかなりの重荷になっているでしょう。

 

 ちなみに乃が美のホームページによれば、「乃が美はなれ(直営店以外)」はフランチャイズシステムに基づくフランチャイジーではなく、理念を共有し、製法を磨き上げ、認められた店主のみが冠する少数精鋭の店舗だと説明しています。

 

 言っていることがよくわかりませんが、中身を見れば店舗運営や製法などノウハウの提供、ロイヤリティの存在などフランチャイズシステム以外の何物でもありません。今回の件もフランチャイザーとフランチャイジーの間でよくある「内紛劇」です。

 

 そもそもの話、高級食パン自体がすでに飽きられています。業界的にはこの数年まさに乱立という状況が続き、お客側もお腹いっぱいで飽き飽きしていることは間違いないでしょう。実際、「高い」「1回食べればしばらくはいらない」「普段食べるには重い」「他店との違いがわからない」…などの声を聞きます。

 

 乃が美も商品開発も進めているようですが、基本は食パンメインなので好業績を維持するのは難しいでしょう。ただし、これはフランチャイジー側もわかっていたはずです。ロイヤリティも高いとはいえ、契約時には同意し、悲観的シミュレーションもしていたはずです。

 

 大体、赤字の店舗が多少ロイヤリティを軽減したところで、多くの場合固定費を賄う利益が出るようになりません。今厳しいからとフランチャイザーにすがったところで、最終的には自分自身でケツを拭く必要があります。FCシステムは自立した事業者同士の契約なのです。

 

 つまるところ、今回は乃が美、FCオーナー双方に問題があります。お互いに責任を押し付けあっているだけ。本来ならば双方協力の元、新たな商品やサービス等の開発、販売ノウハウのブラッシュアップ、現場の改善などやれることは多々あります。

 

 もっともFCシステムに限らず、どの業界でもお互いを当てにし過ぎると責任の擦り合いが始まります。結果、誰も得をしない争いが広がって顧客も離れ、市場は衰退していきます。「こんなはずではなかった」というお互いの「甘さ」が最大の要因です。

 

 要は「覚悟」があるかないか。事業の成否を分かつ最も重要な点はここです。生半可な気持ちで始めれば結果は見えています。成功しているFCだからと言って誰でも上手くいくとは限りません。ぜひ皆さんも自分自身の事業に対する「覚悟」を問い直してみてください。

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