
「伊勢丹新宿本店が統合前を含め過去最高売上の見通し 1992年3月以来の快挙」2023年4月3日、FASHIONSNAPはこう題した記事を掲載しました。記事によれば「三越伊勢丹ホールディングスが、基幹店の一つである伊勢丹新宿本店が2023年3月期に統合以前も含め、過去最高の売上となる見通しだと発表した」としています。
1992年3月期は3000億円超の規模でしたが、2023年3月期はそれを大幅に超える実績が見込まれるそうです。コロナ禍の影響を受けた21年、22年3月期は同社百貨店業セグメントの売上も大幅に落とし、営業赤字に転じていました。
実績が大きく伸びた要因としては、「ラグジュアリーブランドや宝飾品など高額商品の伸び」、「外商・個人へのマーケティング強化」、「インバウンド需要の復活」が挙げられています。
いわゆる百貨店の「強み」に注力した結果が表れているのは間違いないでしょう。また他の百貨店もコロナの影響から徐々に抜け出し、数字的には戻りつつあります。
しかしながら、百貨店業界全体として見れば、22年度は5.5兆円と戻り切れていない状態です(コロナ以前は6兆円半ばを前後)。伊勢丹本店などの一部の店舗は大きく伸びていますが、全国的にはまだら模様の回復になっています。
そもそも百貨店の市場規模はコロナ以前から縮小傾向にありました。コロナで受けたダメージはある程度回復すると思われますが、市場が成長するほどの伸びを期待するのはちょっと難しいかもしれません。
今後、東京都心や地方の大都市にあるような「基幹的存在」の百貨店は生き残ることができるでしょう。一方で、都心の外れや中小規模の都市にあるような百貨店は、かなり厳しい状況になっていくのは確実です。
私もアパレル小売店を九州の百貨店に出店していますが、百貨店の集客力は明らかに落ちています。子供のころから見ている百貨店ですので、その衰退(老化現象)ぶりは肌で感じます。要はお客様も従業員も同様に年を重ね、人も館も活力(新陳代謝)が弱まっているのです。
都心には地方から人口が流入し、人口減少の中でもある程度の活力が生まれます。百貨店が百貨店として機能する条件が整いやすい。一方、条件が整いにくい地方で伊勢丹新宿本店のやり方をマネしてもまず失敗します。
外部環境などの前提条件が違い、加えて自社が持つ強みも違う中で、他社の成功事例をそのままマネするのは危険です。今回のニュースは伊勢丹新宿本店だからこその結果です。地方でやるべき施策は違って当然です。
これは業界が違っても同様です。他社の成功事例はあくまで参考程度にとどめておきましょう。自社には自社なりの「やり方」があるはずです。“地方だからこそ”成功するやり方は必ずあります。流行りに流されず、本質をついた戦略で臨みましょう。

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