ニュースの論点No.704 成長か環境保全か

 「クリスマスプレゼントも『中古』の時代?リユース店でギフト需要が増加」20231212日、BUSINESS INSIDERはこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「リユース大手や大手フリマアプリなど中古品を扱う企業でも、『プレゼント需要』が伸びているという」とのこと。

 

 楽天ラクマ内の「ブランドオフ」では売上1.8倍、「ブランドシティ」では4倍、リユース大手のコメ兵もプレゼント需要が増えています。2030代男女のギフト需要が増加傾向にあるそうです。

 

 単純にお金がないからリユースというわけではなく、すでに生産されておらず、中古品からしか選べないなど個人の「こだわり」が強くなっている面もあります。

 

 近年はフリマアプリが当たり前の存在となり、特に若年層が買い物をするポイントとして「リセールバリュー」が重視されています。要するに高く売れるか。この点が最も重要な判断基準のひとつになっているのです。

 

 フリマアプリで頻繁に売り買いをしている人も多く、リユース品自体に世間の抵抗がなくなっているのでしょう。ちなみにリユース市場は右肩上がりを続け、この10年でほぼ倍の29000億円ほどになっています。

 

 少し話が変わりますが、中古品や中古車、中古住宅などの売買取引はGDP(国内総生産)に含まれません。中古のものは最初に販売された時点ですでにGDPに計上されており、その後の売買では新たに付加価値を生んでいないからです。

 

 たとえば、A君が百貨店で買った10000円のシャツをB君に5000円で売ったとします。A君が百貨店に払った10000円(百貨店の売上)と、B君がA君に払った5000円(A君の収入)を単純に足してしまうと15000円の付加価値が生まれたことになりますが、これは正しいでしょうか。

 

 A君は百貨店に10000円を払いましたが、その後の売買でB君から5000円払ってもらっています。結局A君が出したお金は正味5000円です。B君が出したのも5000円。

 

 つまりA君とB君が5000円ずつ出して10000円のシャツを買ったのと同じことです。このやりとりで新たに価値は負荷されておらず、A君からB君に所有権が移転しただけ。なので中古品の売買はGDPには含まれず、A君が最初に百貨店に払った10000円だけがGDPとなる(大雑把な例ですが)。

 

 中古品は所有権が移転しつつ同じものを複数人で利用しますので、当然ながら一人当たりが支払う金額は少なくなります。この一連の流れでは基本的に新たな付加価値が生まれず、国内総生産にも寄与しないのです。

 

 リユース市場の拡大は、経済成長という面で見ればあまりプラスにならないイメージですが、近年のSDGsや環境問題に対しては良い影響を与えます。「成長」「環境保全」のどちらも重要で、どちらか一方だけが正しいことはありません。

 

 矛盾する問題をどう解決するのか。この点は会社経営でもよくあることです。視野が狭いといずれか一方だけに肩入れし、バランスを欠いてしまい持続することができなくなります。

 

 経営者として、まずは状況を俯瞰する。「過ぎたるは猶及ばざるが如し」を念頭に置き、矛盾する問題に対応していきましょう。

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