
「資産があるうちに事業をたたむ『あきらめ廃業』広がる 令和5年休廃業」2024年4月8日、産経新聞はこう題した記事を掲載しました。
記事によれば、「帝国データバンクによると、令和5年に休廃業した企業のうち、半数以上が休廃業直前の決算で最終損益が『黒字』だった」としています。また、休廃業したうちの62.3%は資産超過だったとのこと。
ちなみに2023年の休廃業数は全体で5万9105件、前年比10%増と4年ぶりに急増しています。
あっさり言えば、コロナ支援がなくなったことで休廃業数は増えました(元に戻った)。倒産数も同様の動きをしていますので、コロナ給付や融資が企業を延命させたことは間違いありません。
ここで「廃業」と「倒産」の違いをごく簡単に説明すると、「廃業」は事業を続けようと思えば続けられる状態で自主的にやめること、「倒産」は債務が弁済できず、やめざるを得なくなってやめることです。
いずれにしても、昨年廃業や倒産が増えたのは、コロナ騒動の中で資金繰りが一時的に改善し、多くの企業が廃業や倒産という決断を先延ばしできたことが影響しているでしょう。
「あきらめ廃業」という言葉の是非はさておき、黒字や資産超過での廃業はそう悪いことではないと私は思います。決断できずにダラダラと続けるとダメージが大きくなり、いわゆる「ゾンビ企業」化してしまう恐れがあります。
迷惑をかけないように廃業しても、頑張った結果やむなく倒産しても何かしら文句を言われる経営者はなかなか大変です(放漫経営は論外ですが)。とはいえ、それをわかって覚悟を持ってやっている経営者が大半だと思います。
なお、中小企業白書(2017年)によると、企業生存率(全業種)は、起業の1年後で95.3%、2年後で91.5%、3年後で88.1%、4年後で84.8%、5年後で81.7%となっています。
業種により違いはありますが、全体で見ると意外に残っているな…と思った方も多いのではないでしょうか。私が関わる小売・飲食・サービスなどの店舗型のビジネスでは、もっと厳しい状況なので特にそう思います。
翻って、「やめ時」を自分で決められるのはある意味幸せなことです。企業経営という先行きがほぼ見えない困難な道を選び、長年に渡って社会に価値を提供したうえで、周囲に迷惑を掛けずに自ら退場する。もっとも理想的な形かもしれません。
もちろん、技能や技術が失われることは懸念されますが、「本当に必要なこと」はおそらく誰かが継承するか、新技術が取って代わります。つまりは新陳代謝であり、進化における自然淘汰です。
「続ける」ことも重要ですが、「やめる」ことも同じように重要です。やめ時を見誤らず、自ら“やめる決断”ができる経営者でありたいと心から思います。

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