ニュースの論点No.752 価値を生む方法

 「『エルメス』“バーキン”の販売をめぐる集団訴訟」2024528日、WWDはこう題した記事を掲載しました。

 

 記事によれば、「『エルメス』がアイコンバッグである“バーキン”や“ケリー”を販売する方法が独占禁止法違反や不公正な商慣習に該当するとして、消費者2人が米カリフォルニア州でクラスアクション(集団訴訟)を起こした件について『エルメス』は訴えの却下を申し立てた」としています。

 

 原告によれば、バーキンやケリーは店舗に陳列されず、他の商品を複数回買ったお客にのみ提供されており、これが独占禁止法の抱き合わせ販売にあたると主張しています。

 

 エルメス側は他の商品の購入は要求していないと否認しており、もしやっていたとしてもそれ自体は独禁法違反にはあたらないと主張しています。店舗によって違いがありそうですが、おそらく近いことはやっているのかもしれません。

 

 司法の判断はまだ出ておらず、訴訟の結果が今後どうなるのかは不明です。いずれにしても、人気があるからこそ出てくるニュースだと言えます。

 

 欲しいけど手に入らないという状態はその商品の価値を上げます。いわゆる希少性が高まっている状態です。欲しがっている人が多数いれば、さらに相対的な価値は高まります。

 

 このような状況下では市場が不完全競争になりやすく、作り手側が抱き合わせ販売によって不当に利益を得るような「市場の失敗」が発生します。このような状態になるのを防ぐために独占禁止法が存在しています。

 

 独禁法に抵触するようなやり方はもちろん論外です。しかしながら商品の価値を上げるために「希少性」にフォーカスするのは商売を成功させるために必須の視点です。

 

 「希少」の対義語は「普通」で、いわば日常にありふれていることです。「陳腐」と言ってもいいかもしれません。いずれにしても、いつでも、どこにでもあるものの価値は上がりにくい。日用品や生活必需品と呼ばれるものは相場感ができ、大半が「お求めやすい価格」になっていますね。

 

 翻って、必需品と違い、「必ずしも必要でないもの」の価格は高く設定できます。バーキンやロレックスがいい例でしょう。ポケモンのレアカードからアート作品まで、高額な品は総じて「必需」ではなく「趣味嗜好」に大きく偏ります。

 

 その価値と比較して価格が異様に高くなったとしても、それに対して支払う人がいれば取引は成り立ちます。投資的な要素が出てくると胡散臭い感じになってきますが…。

 

 バーキンを店頭にあえて置かずに希少性を演出し、価値を高めて価格を維持、もしくは価格を上げているのはエルメスの戦略でしょう。

 

 ロレックスも近年では本当に商品が少なくなって希少性が高まっていますが、実際一部商品は店頭に出さず上顧客のみに紹介する商品もあると聞いています。

 

 これは中小企業にも通じることで、あえて市場に出過ぎないように生産量をコントロールする「戦略」は持っておいていいと思います。一度下がった価値を上げるのは容易ではありません。

 

 あなたの扱う商品やサービスはいかがでしょうか。世の中にあふれているものはある程度相場が決まってしまいます。自社の強みや独自性を生かし、希少性を生み出す戦略を持って臨みましょう。

    今週の経営コラムを無料でお届け 無料メールマガジン登録はこちら
    よかったらシェアしてね!
    • URLをコピーしました!

    コメント

    コメントする

    目次