
「ローソン、カスハラ対策で名札表記イニシャル可能に 宗教上の理由でヒジャブ着用も可」2024年6月4日、産経新聞はこう題した記事を掲載しました。
記事によれば、「コンビニ大手のローソンは4日、悪質なクレーム(カスタマーハラスメント)対策の一環として、店舗従業員が着用する名札の表記や規定を見直すと発表した」としています。
今後は役職と任意のアルファベットかイニシャルでの表記が可能となるそうです。最近ではいわゆるカスハラ対策として同様の動きが業種を問わず広がっています。
近年、カスハラは増加傾向にあり、厚労省の実態調査によれば約3割の企業が従業員からカスハラの相談を受けているとのこと。調査では、カスハラはさまざまなハラスメントの中で唯一の増加が確認されているとしています。
カスハラが増加した原因としては、「スマホの普及など、クレームを言いやすい環境が整っている」「SNSによるさまざまなトラブルの可視化でクレームを言うことへのハードルが下がっている」などが挙げられています。
この点、従業員の実名が出されているとカスハラの先にさまざまな危険が伴います。現場の従業員に一定の匿名性を持たせることで、「万が一」から従業員を守る動きが進んでいると言えます。
私もアパレル小売店を経営していましたので、「名札」の扱いがどんどん変わっていくのを実感しています。当初は基本的に実名フルネームが当たり前で、皆それに対して特に何の疑問もなく従っていました。
むしろ、「自分自身を売り込む」意味合いもあり、特に個人に売上目標が割り当てられているような業態では名刺も渡してアピールしていました。
ところが不特定多数のお客様を相手にする店舗では、徐々に悪用される場面が見受けられるようになりリスクが顕在化し始めます。今後は不特定多数を相手にする業態ではさらに匿名化が進んでいくと思われます。
一方、接客サービスを伴う商売で誰だかわからない「匿名性」はあまりプラスに働きません。その人だから買うというファン(得意客)の存在は非常に大きい。結局のところ「属人化」の道が避けられないのが商売の難しさでもあります。
ただ、最近では実名ではなくハンドルネームや○○ネームなどで呼称される場面が増えていますので、店舗現場でも徐々にスタッフがキャラクター化していく未来が予想されます。
ちなみにカスハラをする8割は男性、年代は50代が4割というデータがあります。この世代は、昔は当たり前だったサービスが人手不足や対応の簡素化によって提供できなくなり、「邪険に扱われた」と感じるパターンもあると思われます。
つまるところ「期待値と現実のギャップ」に戸惑った結果、感情の行き場がなくなって爆発する例も多いのではないでしょうか。まあ、だからと言ってカスハラレベルの悪質なクレームが許されるわけではありませんが。
今は過渡期にあり、「現状の対応が当たり前」になるとカスハラは減っていくでしょう。一方でこれまで当たり前だと思っていた高品質な対人サービスの価値は上がり、相応の対価を払わなければ受けられない特別なものになる可能性が高い。
私たち経営者はリーダーとして日々アンテナを張り、アップデートしていくことで時代に取り残されない感覚を養っていきましょう。

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