
「『うまい棒』値上げ、税別12円→15円に、2024年10月1日出荷分から」2024年9月24日、食品産業新聞はこう題した記事を掲載しました。
記事によれば、「うまい棒では2022年1月に初の価格改定として10円→12円に改定。今回の値上げは、2022年以後も主原料であるコーンや植物油をはじめとした原材料全般の価格上昇が進み、人件費・包装資材費・配送費等も更に大きく上昇していることを要因とする」としています。
ちなみに製造元「やおきん」の2023年12月時点年商は211億円、社員は80名で一人当たり売上は2.63億円です。同社はファブレス企業として自社工場を持たず製造を他社に委託し、販売や企画に特化しています。
さて、うまい棒のような薄利多売戦略は大量に販売することで利益を確保するモデルです。少しでも価格が上がれば消費者の離反を招きやすく、特に「うまい棒」のような超低価格商品にとっては、そのリスクは非常に高いといえます。
それでもやおきんは薄利多売にこだわることで安定した市場シェアを維持し続けています。価格は上がっても、消費者にとって手軽に買える「うまい棒」というポジションを守り続ける姿勢が見えます。
ここで重要なのは、薄利多売を継続しながらも、企業が「やらないこと」を明確にしている点です。例えば、高級路線や付加価値の大きな商品展開には踏み込まず、「手頃な価格で楽しめるスナック菓子」というシンプルなブランドイメージを貫いています。
やおきんは、何をやるかだけでなく、何をやらないかを明確にしたことで成功しています。多くの企業は、手広く事業を展開することで市場を広げようとする一方、やおきんは薄利多売のみに特化し、限られたリソースをその戦略に集中させているのです。
そのために徹底したコスト管理や効率的な物流体制、そして常に一定の品質を提供するための工夫が必要です。「うまい棒」は、細かな戦略的判断と集中によって、薄利多売モデルを維持し続けています。
企業にとって重要なのはビジネスモデルの一貫性です。この点、今回の価格改定は、単なる値上げではなく、企業が自らのビジネスモデルを堅持しつつ、市場に適応するための戦略の一環です。
この事例は、経営者に対して明確なメッセージを伝えています。すべてをやろうとせず、自社の強みを見極め、それを活かすために「やらないこと」を決めることが、最も強力な戦略であるということです。
経営者の皆さん。やらないことを決めていますか。「選択と集中」は中小企業にとって最も重視すべき戦略行動の一つです。

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