
「2025年ヒット商品番付 万博も連覇も国宝級 訪日4000万人 消費新局面」2025年12月10日、日経MJはこう題した記事を掲載しました。
ヒット商品番付が発表されると、「今年も結構色々あったけど、何だかんだで景気も持ち直しているのでは」といった雰囲気が世の中に広がります。
2025年も、万博、映画『国宝』、鬼滅の刃、Nintendo Switch2、LABUBUなど華やかな話題が並びます。日本発の文化や技術が世界を魅了し、熱量を持って語られる光景は確かに希望を感じさせる。
しかし、その一方で物価は上昇し、人手不足倒産は過去最高。
景気の体感としては、決して明るくない企業も少なくない。
マクロの輝きとミクロの厳しさが同時に存在する。それが今の日本経済の特徴です。
この華やかなヒット商品群から、中小企業は何を学ぶべきか。
ヒット商品は、しばしば瞬間最大風速によって生まれます。
SNSでバズり、メディアが取り上げ、人々が一斉に飛びつく。
しかしその多くは、需要の先食いと過剰反応によって一気に跳ね上がり、同じ角度で落ちていくという、まるで物理現象のような振る舞いをします。
ムダにバズれば、反動も等しく大きくなる。
この力学を理解しておかないと、企業は一瞬の繁忙で疲弊し、反動局面で体力を失いかねない。
もちろん、ヒット商品には長く愛され続けるものもあります。
任天堂、鬼滅の刃、ジブリ、長く続く映画シリーズやキャラクター作品に共通するのは、外側の演出ではなく、内側に積み上がった宝があることです。
世界観、技術、作り手の思想、顧客との信頼といった、時間を味方にして初めて醸成される価値が人を惹きつけている。
これは、経営学者の楠木建氏が指摘する「ブランディングではなく、ブランデッド」という概念にも通じます。ロゴを変える、広告を派手にする、SNSでそれっぽく見せる。
こうした外側の加工は“ブランディング”ですが、長続きはしません。
ブランドとは本来、企業が長年積み重ねてきた営みが自然と外側に滲み出て、“ブランドと見なされてしまう状態”。
つまり「ブランデッド」のことです。
中小企業が目指すべきは、バズではなく、目先の話題性でもありません。
必要なのは、時間とともに強くなる価値であり、積み重ねるほど深まる“宝”であり、外側ではなく内側から育つブランドです。
ヒット商品番付が教えてくれるのは、消費の派手さではなく、「本当の価値は一朝一夕ではつくれない」という当たり前の事実です。
ムダにバズる必要はありません。
提供する商品やサービスを着実に積み重ねていく企業こそ、長期で支持され、いつのまにか「ブランド」として多くの人の信頼が集まってきます。

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